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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第55章 【王者の恩返し】 その2


「お皿どこやろ。」

言って義兄の方を振り返ると義兄は何やらにこにこしている。

「あっちの方みたいだな。」
「兄さん、えらいニコニコしとるけどどないしたん。」
「お前が嬉しそうだから。」
「そうなんですか。」
「俺にはわからなかった。それより先に取りに行くといい。」
「ほなお言葉に甘えて。」
「皿にてんこ盛りはするなよ。」
「そんな行儀悪いことせんもん。」
「基本信用してるけど念の為。」
「仕切りで分かれているお皿あるわ、あれにしよ。」
「うん、そうしな。」

力の返事が終わるか終わらないかのところで美沙はすっ飛んでいくかのように高速で移動する。

「目ざといな。」
「食べ物とか興味があるものが絡むと大体ああです。」
「加えて聞きたいのだが。」

美沙より遅れて進みながら牛島が言う。

「何でしょう。」

首をかしげる力に牛島は重々しく言った。

「妹が下げているあの鞄」
「ああ、ガジェットケースですか。外出用のを買い直したそうです。」
「いや、随分膨れているが。」
「入るからって財布を無理やり入れてるもので。」
「必要があるのか。烏野の連中に預けておけばいいだろう。」
「みんなは信用してるけど、そのみんなのスキを突く輩が怖いそうです。」
「否定はしないが極端では。」
「いじめられてた時の習慣と、あと直近で高額財布を盗られた動画配信者の話を聞いたからですね。」
「他人の悪意に鈍感と聞くが、存外用心深い。」
「牛島さんに言われるとどうにもなりませんね。」

2人とも、淡々と穏やかに言いたい放題であった。
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