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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第54章 【王者の恩返し】 その1


例外はまず安定の西谷でこいつは単純に何か賑やかになってんなぁという顔、影山は天童さんって物好きなんだな、それより腹減ったという顔である。
なお、当事者である縁下美沙及びその義兄はまだ固まったままである。

一方天童は身内から散々言われ、烏野の大半からも強いマイナス感情を向けられた為にチェッと口を尖らせる。
やっと諦めたと一同がと安心したのもつかの間、

「んじゃ俺1人で勝手に行くネン。」

やはりこの男、しぶとさが半端ではなかった。
たまりかねた瀬見がぶっ飛ばすと言いかけ、大平も絶対駄目だと言おうとした所でやっと彼女が動く。

「あんったは阿呆かあああああっ。」

硬直が解けた美沙が叫んだ。隣の義兄、力は無表情で両耳を指先で塞いでいる。

「ちょっとぉ、ままコちゃんいきなり阿呆呼ばわりはひどくない。」
「ひどいもへったくれもあるかいななんでわざわざ天童さんが来るんですか動機がイミフすぎるわこちとら別にオフ会するんちゃうから面白いこと一切ないからっ。」
「えー、他校引き寄せ体質のままコちゃんと天然の若利クンの組み合わせで何も起きないってあり得ないデショ。」
「誰が他校引き寄せ体質やいやそれは否定できへんけどとにかく何か起きる前提で事を進めな(進めるな)見物にきなっ(来るなっ)。」
「ケチーッ。何なのさ、ままコちゃんは親切だってきーてんだけど。」
「何がケチやそういう次元ちゃうわえー加減にしぃっ。」
「いいのか、」

一応目上である天童に対して敬語をすっ飛ばしてまくしたてる美沙を見た牛島が力に尋ねる。

「興奮して随分自由に発言しているが。」
「今回は見逃してます。」

既に耳を塞ぐのをやめていた力は答える。

「俺としても困るので出来る限り抵抗してもらっといた方が。寧(むし)ろ牛島さんが大丈夫ですか。」
「俺は構わないがお前ら兄妹が困るのは心苦しい。しかしあの様子では天童が折れる可能性はないだろうな。」
「わかりました。」

力がふぅと息をついた所で美沙とわあわあ言い合っていた天童がぐりんと牛島の方を振り返る。
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