第51章 【Sorry for Dali その4】
「そらそちらの滑津さんくらいお綺麗な方やったら量考えて食べはるんが必須でしょうけど、私は別にちっと食減らしたとこでこのご面相が変わる訳やなし、お腹減って活動不可になる方が重いんで。」
言ってサラダを完食し、美沙は次に移る。
「美沙さんも別に卑下することないって、前に見せてもらったコスプレの写真綺麗だったよ。」
「茂庭さんは天然で女子を虜(とりこ)にしはるタイプですね。」
「んー、美沙さんに天然って言われるのはちょっと辛いかな。」
「なんでまた。」
「考えてみなよ、」
茂庭は言う。
「美沙さんが天然じゃなかったら縁下君があんなにも心配しないだろ。」
美沙はガーンッとなった。
「あんまりやっ。」
「もちろん」
じとっとした目で見つめる美沙に茂庭は付け加える。
「縁下君もちょっと心配が過ぎるけど。」
「過ぎるなんちゅうもんやない説を提唱したいです。どこへ行き着くつもりなんやら。」
「いや、ひとまずのゴールは明確なんじゃないかな。」
「そうですやろか。」
うーん、と唸る美沙に対し、茂庭は埒が明かないと判断したらしい。
「それにしてもやっぱりダリの作品はすごかったなぁ。」
ふと話題を変えてきた。
「ですねぇ。」
美沙もうなずく。
「圧倒される一方でした。」
「そうだな。」
「絵だけやなくて立体のセンスもすごかったですね。」
「うん。」
「まさか女優さんの顔を部屋と家具で表現しはるとは。」
「普通に思いつく事じゃないよな。」
「酔狂の極地でしょうかね。」
「かもなぁ。俺はとにかく"縄飛びをする少女のいる風景"が見れたのが一番嬉しいよ、本物を見れたらなって思ってた所だったから。美沙さんは。」
「私はそれも勿論見れたんは感動なんですけど、他やとやっぱりパン籠の絵ですね。あ、美味しそうやからちゃいますよ。」
先回りする美沙に茂庭がくすりと笑った。