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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第9章 【ホワイトデーの話】


「めっちゃ嬉しい。これちょっと気になっとったから。」
「らしいな、谷地さんから聞いた。」
「ふぎゃああああっ。」

美沙はベッドから飛び上がらんばかりである。

「ちょお、やっちゃん、何の情報流してるんよ。」
「別にいいだろ、悪いことしたんじゃなし。」
「うう、そらそーやけど。」

それでもと落ち着きなくモゾモゾする義妹、力はそっとその横に座り込んで頭を撫でてやる。少し落ち着いたのか美沙はコテッと頭を力の方に預け、やがてクッキーを一旦傍らにおいて力に抱きつき顔をスリスリグリグリとやりだす。甘えたモードが発動したようだ。

「ホントお前は動物かよ。」
「ちょい前にペットや言われた。」
「誰だ言ったの。」
「月島。」
「そりゃ困ったな。」
「流石に腹立つからええ加減にせんとツッキー言うでって言ったった。ごっつ(凄く)嫌な顔しとった。」
「なかなかの報復措置だな。」

とか何とか言いつつも力は義妹を抱きしめてこの状況を密かに堪能する。

「兄さん、その、」

やがて美沙がモゴモゴと言った。

「はよお着替えしてご飯行かんとお義母さんが呼びに来はるよ。」
「そうだな。」

力は呟いてベッドから立ち上がる。美沙も同じようにベッドから立ち上がる。

「あ、」

力は言って美沙をベッドに戻した。

「お前やっぱりここにいて。」
「嫌やっ、兄さんのお着替え覗く趣味ないもん。」
「布団被ってりゃいいだろ。」
「そういう問題ちゃうっ。」
「いいから。」
「ふぎゃあああっ。」

叫ぶ義妹に構わず力はその細っこい体をベッドに寝かせて上から布団をかぶせる。あげたクッキーが壊れないよう他へ退避させておくのも勿論忘れていない。頭の片隅ではこういうことをするから木下や成田に病気扱いされるんだろうなと思う。それでも義妹はそんな自分を受け入れてくれる。

当分これは止まりそうにないなと力は思い、布団を被ってモゾモゾする美沙を他所に着替え始めるのだった。



【ホワイトデーの話】終わり
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