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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第48章 【Sorry for Dali その1】


そのまま美沙含む烏野一行が沈黙してまた歩いてしばらく後のことだった。

「あ、こんにちはっ。」

ふいに温和な声に挨拶されて、力と美沙の縁下兄妹は勿論烏野一行は一斉に注目する。

「ちわっす。」

澤村が先に返し、烏野一行も追随して挨拶、向こうからも3人分の挨拶が返ってくる。
伊達工業の3年にして、元男子バレーボール部の茂庭要、鎌先靖志、笹谷武仁であった。

「澤村君、お久しぶり。」
「こちらこそ。茂庭君達も元気そうだな。」
「まあまあかな。鎌ちは元気とうるさいのがデフォだけど。」
「待てコラッ。」
「事実はしゃあねえだろ。」
「ささやんもかよっ。」

茂庭と笹谷に弄られて騒ぐ鎌先だが、弄った当の茂庭はスルーだ。

「部活の帰りか。」
「ああ。」
「お疲れ様だな。頑張って。」
「ああ、ありがとう。」

茂庭達と澤村が話している間、美沙は義兄の力の隣で静かにその様子を見ていた。
内心では二口さんがおらんで良かった、などと思っている。
先にも言及されていたが、現伊達工バレー部主将である二口堅治とは顔を合わせると口喧嘩になるくらい相性が悪い。
向こうが会うと必ず"半分ボケ"呼ばわりをするからといって脊椎反射で言い返してしまう美沙も問題なのだが、とにかく今喧嘩相手がいないのは幸いである。

やがて菅原、東峰、清水も話に参加、両校の3年生同士はしばし談笑する。
美沙は引き続き話に耳を傾けながら茂庭さん達もほんまお久しぶりやなぁ、そういや鎌先さんには号泣されてもた事件もあったっけとなどと思いながらぼんやりと茂庭に目をやっていた。
そういえば、と美沙は回想する。
茂庭さんと初めて会うたんは、私のベストの糸が茂庭さんにひっかかってもたんがきっかけやったっけ。
糸は鋏で切って何とかなったけど茂庭さんが急にお茶に誘ってきて、知らん人やのについ兄さんとおんなじ匂いがしたもんやから私ついてってもたんよな。
茂庭さんには突っ込まれたし、ずっと後になって兄さんにもバレて怒られたけど。

そこまで回想して美沙はハッとした。思いついてしまった。
今度は意図的に澤村達と話す茂庭、鎌先、笹谷の様子をしばし伺う。やがて彼らの話が途切れたところで美沙はタタッと駆け出した。
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