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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第47章 【王者の命】その7


「ウシワカも大変ね、美沙ちゃんにはいっぱい用意しなきゃ。」
「縁下も大変だ、こんだけ妹が伝説を更新するんじゃな。」

清水が微笑み、澤村が苦笑する中、武田が運転するバスは烏野へと走り続けるのだった。


バスが烏野高校へ到着した頃にはやはり辺りはすっかり暗くなっていた。
乗っていた生徒達は多くが眠い目をこすりながらバスを降り、勿論その中には縁下美沙がいた。


「お父さんとお母さんがもうすぐ来てくれるって。」

烏野高校の第二体育館前、まだ覚めきっていない目でスマホを見つめながら美沙は義兄に報告していた。
他の連中はぞろぞろと体育館に入っていっている。

「そっか。」
「門の前におった方が早いけど、あんだけ暗くて人おらんとこってどうなんやろ。」
「ここで待っときな。万一変なのが来て何かされそうになったらちゃんと大声出すんだぞ。そしたら武田先生か烏養さんの耳に入ってきっと気づいてくれるから。」
「うん。」
「じゃ、ミーティング行ってきます。」
「いってらっしゃーい。」

義妹の頭をぽむぽむして力は体育館に入っていった。
入り口の重い扉はそのままがっちりと閉められ、1人残された美沙はその側に座り込んで義父母を待つ。
明かりは体育館の窓からの光と手に持つスマホ画面の光だけである。
流石に落ち着かなかったのでスマホを操作してLEDライトを点灯させた。

まもなく義父母が迎えに来て、美沙は無事に帰宅した。


力はその後ミーティングを終えて遅れて家に帰ってきた。

「ただいま。」
「おかえり。」

練習試合といえどボコボコにやられた後だ、帰りのバスでは美沙がいた為か誰もそんな素振りは見せなかったけれどミーティングの空気は当然重く真剣だった。
そこから帰宅し、迎えに出た義妹の顔を見ると急に力が抜けていく気がする。

「荷物は。」
「重いから自分で持って上がるよ。」
「ほなご飯もうあっためとこか。」
「ああ、そうだな。」
「わかった。」

まずはそれだけ言葉を交わし、義妹はパタパタと台所へ向かう。
力は微笑んでそれを見送り、靴を脱いで自室へと上がっていくのだった。
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