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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第45章 【王者の命】その5


「どうした。」

寒河江が尋ねると日向はさらっと答えた。

「寒河江達も美沙と喋ったら。」
「ええっ。」

寒河江と赤倉は飛び上がる。

「だってよくわかんねぇなら喋った方が早いじゃん。」

日向はこともなげに言うが寒河江と赤倉からすれば自分達ですらなかなか近づけないような主将をはたくわ、県内外問わず他校と揉めるわファンがついてるわと強烈な人物といきなり喋れなぞ無茶苦茶である。

「おい翔陽、マジかよ。」
「それって大丈夫なのか。」
「大丈夫、パッと見はめっちゃとっつきにくそうに見えるけど普通に話したら何ともねーから。」
「本当かぁ。」
「大丈夫だって。美沙が終わりそうなら行こーぜっ。」
「お、おう。」

日向はノリノリであるが寒河江と赤倉は本当に大丈夫かと顔を見合わせていた。


何だかんだ他が後片付けやらなんやらをやっている間に縁下美沙は何とか編集を終えて、DVDに書き込む作業に入っていた。
編集ソフトを操作して必要な設定をしてDVD-Rを外付けのドライブに挿入、ディスクが認識されて編集ソフトが書き込み進捗を表すバーを出したのを確認する。

美沙はふぅと息をついて一旦手を止めた。
いくらパソコン自体は高性能でも外付けのドライブでディスクに書き込むには多少時間を要する。
しばらく待たねばならない。

「書き込み始めました、何もなければもうしばらくで出来ます。」

そう告げると斉藤はとても安心したように笑う。

「良かった。本当に助かる。」
「様子は見ておきます。」
「お願いするよ。」

美沙ははい、と頷いて書き込みが終わるまでの間に他の事を始める。
とりあえずはのどが渇いた。席を立って足元においていた鞄からゴソゴソと水筒を取り出して茶を飲んでいると武田と烏養がやってくる。

「美沙さん。」
「あ、先生。コーチも。お疲れ様です。」
「ちょこちょこ様子は見てましたが、無事進んでいるようですね。」
「はい。」
「鷲匠先生に急に近寄った時は肝が冷えたけどな。」
「すみません。」
「幸い勘弁してもらったからいいけどよ、やっぱりお前と日向は何起こすかわかったもんじゃねぇ。」
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