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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第43章 【王者の命】その3


一方、縁下美沙は準備を整えて自宅で待機していた。
着用しているのは西谷からもらった"電脳少女"のTシャツに学校指定のハーフパンツ、いつもなら肩から下げているガジェットケースの代わりにウエストポーチを装備している。動きやすさ第一の格好だ。
待機している間に正直思うのは何でこないなった(何でこうなった)、である。義兄が出発前にくれぐれも突撃はしないようにとあれほど言ってきたのは何だったのか。
とはいえこれは義兄が悪い訳ではなく、連絡してきた時の雰囲気からして義兄本人もさぞかし困惑しただろうことは想像に難くない。
片手のスマホを覗き込みながら美沙は盛大なため息をついた。

「またあのでっかい学校に行かなあかんのかぁ。」

以前に日向と影山に頼み込まれて白鳥沢へ偵察に潜り込み、きっちり見つかってしまったのが五色や天童と関わるきっかけだった。
潜り込んだ時の事は今でも鮮明に覚えている。日向達と3人で忘れ物をした生徒とその友人の振りをして一芝居敷地内にバタバタと駆け込んだ事、体育館にたどりついて日向と影山が練習風景を覗き込んでいる間見張りをしていた事、それが途中でバレて日向と影山は逃がせたが美沙だけ牛島にとっ捕まってしまい流れで五色や天童とも顔を合わせる羽目になった事、思い返してみればなかなかの状況である。
まさかその後おかしな具合に顔を合わせては五色とはほぼ挨拶代わりの口喧嘩、天童にはハンドルネームで覚えられてしまい、更には白布が薬丸だった頃の自分の噂を知っていたという縁まで出来てしまった。

その勝手に侵入してしまった学校へ呼ばれた上に、道端などでやり取りしては大騒ぎになっていた連中と顔を合わせたらどうなるのか見当がつかない。
それと不安なのは白鳥沢の監督である。義兄の力やSNSで牛島から聞いた話では烏野の前監督と関わりがある上に厳格であるというではないか。
そんな人がビビリで人見知りの自分なぞを見て心穏やかにいてくれるだろうか。怒鳴られでもしたら機械操作が出来る自信がない。

美沙はもう一度スマホの画面を見る。落ち着かない心持ちで何となくSNSのアプリを立ち上げようとした所で通知が来た。
義兄の力より、もうすぐ到着するという知らせだった。
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