第41章 【王者の命】その1
「こないだ試合の観戦に無理矢理ままコさんを連れていった結果、3連チャンで妙な事を引き寄せましたし。」
「でもツッキー、今美沙さんがいる状態で他校引き寄せるならともかく逆が必ずとは言えないんじゃ。」
「山口甘すぎ。ままコさんは油断ならない。」
「月島は美沙に何か言われるのが腹立つだけじゃね。って、な、何だよその目やんのかコラ。」
「そういや月島はままコにすぐキレるの何でだ。」
「影山君、今それ言っちゃうの。でもそうだねぇ、美沙さんは月島君でも色々言えちゃうからじゃないかな。」
「おーい1年ズー、他所の敷地でまで揉めんなよー。主に日向と影山と月島ー。」
「俺今揉めてないっす、菅原さんっ。」
「油断するとお前も危ないからー。」
「そういうお前も何かの拍子に悪ノリするなよ。」
「何だよ大地、信用ねぇなぁ。」
「いやその、それこそここんとこの様子見てたら俺もそう思う。」
「くっそ、ひげちょこまで。清水今の聞ーた、ひどくね。」
「大丈夫、私も思うから。」
「四面楚歌っ。」
月島から始まって1年と3年が好き勝手言い出した為、力はああもうと思う。
何だって俺がこんなに美沙の事で弄られなきゃなんないんだ。
「縁下、諦めろ。」
ここで田中がそれっぽい顔をして力の肩にポンと手を置いた。
「全ての元凶はお前のシスコンからだ。」
「お前に言われるのだけはマジで釈然としないんだけど。」
ジトッとした目で呟く力だったが木下と成田がだってなー、と田中に賛同している。
「心配すんな、力。」
ここで西谷がニッコニコで言った。
「美沙だってブラコンだからよ。」
とどめだった。
一瞬の沈黙の後、力以外の全員―武田と烏養も含めてだ―がブブーッと盛大に吹き出して通りすがりの白鳥沢の生徒達が何だあれと不思議そうに一行を見つめる事態になった。
力が穴があったら入りたい心境になったのは言うまでもない。
次章に続く