第40章 【トラブルドゥトラベリング】その6
「あ、飛雄くんに翔陽くん、こんばんはー。」
「こんばんはー。」
「こ、こんばんは、っす。」
「っす。」
「影山、お前どっちがどっちだかわかってなくね。」
「うっせ、お前もだろっ。てかお2人共何やってんすか。」
尋ねる影山に侑がんー、と笑う。
「ままコちゃんがここに泊まってるってわかったからサムも連れてお話しよ思(おも)たんやけど、マネちゃんが通してくれんくて。」
「当たり前じゃないすかっ。」
「飛雄くんまで。」
「おおお俺等、縁下さんに言われてますからっ。」
「翔陽くんもブルッブルやな。」
「まま兄どんだけやねん。」
「な、サム。」
「と、とにかく他校がままコに関わると俺等の寿命も縮むんで勘弁してください。」
「俺もまだ死にたくないデス。」
「デスだけに。」
「おもろないわ、ボケツム。」
「ああんっ。」
更にまたバタバタと足音がした。
「ツッキー、いたっ。」
「山口うるさい、ままコさんが来てるっつってたんだから当たり前。」
山口と月島だ。
「ツム、全員揃てもたぞ。」
「ままコちゃん1人にたいそ(大層)やなぁ、やっぱり縁下くんに言われたからなん。」
あははと笑いながら尋ねる侑にしかし
「まさか。」
月島は眼鏡をくいっと押し上げながら静かに答えた。
「僕はお兄さんに言いましたよ、無茶言わないでくださいって。ですが」
ここで月島はニッと例の嫌な笑い方をしていたのだが部屋の中にいた美沙と日向達が揃った段階で美沙に部屋へ引っ張り込んでもらった谷地には位置関係の都合で見えない。
「あのままコさんがプライド捨ててまで僕を呼びつけた以上何もしない訳にはいかないんで。」
「ありがたい、と言うべきなんやけど月島語過ぎて素直に言い辛(づら)い。」
「月島君だからねぇ。」
「それにしても天下の宮兄弟がファンの女子に幻滅されるリスク置いといてままコさんをストーキングするとか、流石に冗談のセンスがなさすぎるのでは。」
「何やと。」
「誰がセンスないねん。ツムと一緒にすな。」
「指差すな阿呆サムっ。」
「月島が何か物凄い事言ってる気がする。」
「さすがツッキー。」
「よくわかんねぇけどあれ後でままコが月島に怒るやつじゃねぇのか。」