第39章 【トラブルドゥトラベリング】その5
「ただいま、皆。」
「ごめんな、お待たせして。」
「おお、やっと美沙が美沙に戻った。」
「日向は一体何言うとんの。」
「それ、普通の女の子に言ったら多分はたかれても文句言えないから。」
「マジでっ。」
「相手が外見コンプレックス強い割に若干鈍いままコさんで良かったねぇ。」
「山口、月島語がひどすぎてアレやから足踏んでもかまへん。」
「駄目だよ美沙さん、それにツッキーは素早いからそもそも踏ませてくれないと思う。」
「山口、問題はそこじゃないから。」
月島がジトッとした目で親友を見た所で美沙はあ、と声を上げる。
「ときに誰かうちの兄さんにさっきの集合写真送っとる。」
「いや。」
美沙の問いには影山が答えた。
「多分お前が送るだろうってんで縁下さんにはまだ誰もやってない。」
「おおきに、わかった。」
美沙は言って愛用のスマホを取り出し操作をする。
慣れた手つきでメッセージアプリを起動、友達のリストから義兄を呼び出して先程の集合写真を送った、はずだった。
「ふぎゃああああっ。」
予想外の叫びに烏野1年生達は勿論、別で談笑していた稲荷崎2年生達も一斉に美沙に注目した。
「ど、どうしたの。」
恐る恐る尋ねる谷地に美沙はプルプル震えながらしかも半泣きで言った。
「間違(まちご)うて及川さんに送ってもたぁ。」
当然烏野1年生達はえええええええっと全員が動揺、稲荷崎勢は一斉にブフォッと吹き出したのだった。