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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第39章 【トラブルドゥトラベリング】その5


「すみません、相方さん泣かせてもた。」

美沙は侑に言い、治にはポケットティッシュを差し出す。

「ええってええって、サムが勝手に泣いとるだけや。あーはずかしー。」
「うっさいわ、いきなり親は最初からおらんでばあちゃんに引き取られた思(おも)たらばあちゃんも死んでもて親戚中にも見捨てられて生きるか死ぬかのとこで他所んちに拾(ひろ)てもろた話て不意打ちにも程があるやろがい。」

治は言って美沙が差し出したティッシュで鼻をかむ。

「ほんますんません、ちゅうか何で毎度毎度聞いた人の誰かが泣きはるんやろか。」

申し訳無さいっぱいで呟く美沙に治はうん、ほななと言った。

「このまま一緒に写真撮ろ。」
「え、ちょ」

何たる強引なねじ込みか。お金が絡んでいないからまだいいが、もし絡んでいたら悪質な因縁にも見える。

「お、サムにしてはええ考えやん。」

おまけに侑も止めない。遺伝子は恐ろしい。

「お前そのいらん事言いどうにかせぇや、元々おらん友達が余計おらんくなるぞ。」
「勝手に友達おらん認定すなや、ようけおるわっ。」
「ほな俺こっちな。」
「乱入した上に抜け駆けすなっ。俺こっちー、ままコちゃんはもっとこっちー。」
「誰か助けてー。」

美沙は助けを求めるが義兄の力がおらず他が完全に諦めているので助けてもらえない。

「あのぉ、それだと端にフレームアウトしちゃいます。」

谷地ですらさらりと流している。

「しゃあないな、サム寄りになるんが若干腹立つけど。」
「それくらい我慢せぇ。」
「寧ろ私がえらい我慢を。」
「え、えとそれじゃあ撮りますねー。」

美沙がまた限界突破するおそれがあると感知したのだろう、谷地が急いでスマホを操作しシャッター音が鳴り響く。
結局美沙は侑の治の、そして自分のスマホでと計3回、義兄以外のデカブツ2人に挟まれるという本当なら耐え難い状況で写真を撮られたのであった。

なお一連の事態の間、烏野勢及び稲荷崎勢はもはやコメントする気も失せて様子を眺めていたという。
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