第34章 【強引g his way】その5
「いやー面白かったぁ。」
白鳥沢の面々が挨拶をして去ってから冴子が笑って言う。
「美沙あんた根性あるねぇ。」
「根性っつーか怖いもん知らずっちゅうか。天下のウシワカに向かって天然呼ばわりどころか阿呆呼ばわりってバレー関係者以外なら多分お前だけだぞ。」
縁下美沙の同行を許可したばっかりに伊達工、青城、白鳥沢との異常事態を目の当たりにした烏養はじろりと美沙を見る。
「せやかてウシワカさんがけったいな(おかしな)事言わはるからうちの兄さんがえらい事に。」
「おい縁下、責任持って妹黙らせろ。」
「美沙、烏養さんにまで口ごたえはやめな。俺は大丈夫だから。」
力に言われ不満に思った美沙はチロリと義兄を睨む。そもそもの事の起こりは義兄が謎のゴリ押しをして自分を連れてきたからではないか。
「何かもう」
すっかり疲れ切った様子で言うのは嶋田である。
「観戦以外の事ですっかり体力持ってかれた気がする。」
マジそれと滝ノ上まで賛同したので更に美沙はそない言われたかて(そう言われたって)といった気持ちだ。
「あれがしょっちゅう起こるんだって。お前も大変だな。」
不満が全面的に出ていたのだろう、美沙は滝ノ上に頭をポンポンされる。完全に親戚のノリだ。
「何でかようわからんのですけど。」
「固定ファンがついてるのは確実だよね。」
笑いながら言うのは山口で横で月島が物好きにも程があるけどねとボソリと呟く。
「真面目な話関西からまで引き寄せるのはやめてよ、ままコさん。」
「すっかり忘れとったけどあれはファン言うんやろか。それこそ一過性のいちびり(ふざけ屋)やと思うけど。」
「また穏やかならねぇ話だな、関西からって何だ。」
滝ノ上に尋ねられた美沙は影山とユース合宿で一緒だったという宮侑と偶然電話で話す事がありその後SNSでメッセージをもらうようになってしまった話をした。