第33章 【強引g his way】その4
「何故妹がいる。」
牛島は牛島で言われたままに力に尋ねる為白鳥沢の連中の大半がブフォッと吹き出した。
吹き出さないのは例によって2年の白布賢二郎でこいつは一連の流れをずっと嫌そうな顔で見つめていたからである。
「許可を取って連れてきました。」
対する力はやはりしれっと答える。
「コーチにゴリ押ししたんやないの。」
「美沙黙ってな。」
「強引にねじ込んだのか。」
「1人にするのが心配だったので。」
「よくわからない。」
「私もわからへん。」
烏野、白鳥沢共にそりゃねえといった様子で事を見守っている。
「おい。」
3年の瀬見英太がボショリと呟いた。
「状況は全く要領を得ねぇけどあの関西弁は来るつもりないのに兄貴に無理矢理引っ張り込まれたってことでOKか。」
近くにいた菅原がうん、と頷く。
「まー美沙ちゃんが来てからこっちうちではいつものことだけどなー。」
アッハッハッと笑う菅原だが瀬見は笑い事かと冷や汗である。
「コーチにゴリ押しすんのがいつもなのかよ。」
「うちでやろうもんなら鍛冶君にぬっころされるヨネー。」
天童がアヒャヒャヒャと腹を抱えて笑った。
「だから電脳の奴いつもより元気がないんだっ。」
1年の五色工が言うと副主将の大平獅音がへぇと感心する。
「工、わかるのか。」
「そういうのには鈍感そうに見えるのにな。」
「そんな事ありません白布さんっ。」
「お前だけはそう思ってろよ。」
「喧嘩相手だからこそわかるみたいなもんでしょうか。」
「俺に聞くな太一。」
2年の川西太一に言われて応える山形隼人はここで烏野の大人達をチラと見やる。
今回の責任者である烏養繋心はげんなりした顔で様子を見ていた。
「澤村よ」
烏養は呟く。
「つまり縁下妹はウシワカ相手にあの通りだがウシワカも特に動じねぇからいつもそのへんは問題ない、と。」
「ええまぁ。」
「お互い苦労するな。」
「俺は慣れました。」
「忠も慣れたのか。」
「俺はまだ微妙ってとこです、嶋田さん。」
「あんな異常事態連続で起こされちゃあなぁ。」
「でもまだマシな方です。」
嶋田はまだと山口の台詞を反芻し、滝ノ上が恐る恐る何があったのか尋ねる。
「いっちゃん最強のパターンはこないだの文化祭で梟谷と音駒まで呼び寄せました。」
「もはや何が何だかわかんねーぞ。」