第30章 【強引g his way】その1
「みなまで言うな、普段はまともなんだ縁下は。」
「どういう状況だよ。」
「そこの妹が絡むと途端に不思議野郎になる。」
「てかよそもそも男子でもそんなに警戒しなきゃいけねーようなご面相か、あれ。」
「馬鹿たっつあんやめろっ。」
烏養は慌てて力の方を見やるが幸い力は大人の話が聞こえておらず嫌や1人で行けると抗っている美沙の説得にかかっていて木下がいやもういいじゃんと言い成田も恥ずかしいからやめろってと止めに入っている。
「そーゆー事うっかり縁下の耳に入れてみろ、面倒な事この上ねーからっ。」
「繋心にそこまで言わせるってのが意外。」
「何か知らねぇうちに大変なことになってんな。」
OBにまで言われる中でアハハハと冴子のあっけらかんとした笑い声が響いた。
「あいっかわらず美沙可愛がってんなぁ、力。OKOK、よーし美沙冴子姐さんと一緒にトイレ行くか。」
「え、いやその」
「遠慮すんなってー、大丈夫大丈夫。あ、変なのが居たらちゃんと呼ぶんだぞー龍から聞いたけどあんた声でっかいけど何気に遠慮しぃなんだって。」
「田中先輩何喋ったんですかっ。」
「ナンノコトダカワカリマセン。」
「口笛吹いてごまかしなーっ。」
「すみません冴子さん、お願いします。」
「ちょおっ。」
「はいよー。」
「冴子さんまでなんちゅうこっちゃ、もー兄さんの阿呆ーっ。」
またも敬愛する義兄を阿呆呼ばわりしながら美沙は冴子に連れられてお手洗いへ行く事となったのだった。
次章に続く