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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第30章 【強引g his way】その1


「悪(わり)ぃ、縁下妹。」

呟く烏養に嶋田と滝ノ上が反応する。

「しかしびっくりだよなぁ。」

嶋田が言った。

「縁下にあんな妹いたのか。」
「おう、まぁな。」
「何だって縁下のやつ連れてきたがったんだ。まー一番のびっくりは繋心が許可した事だけど。」
「うるせぇたっつぁん、言うな。」
「てかあれ本当に妹かぁ、顔全然似てねぇぞ。」
「あとさっきから聞いてたら喋ってんの関西弁だよなぁ。」
「それも聞くな、とにかく縁下の妹には違いねぇから。」

ここで烏養がハアアとため息をついた所で田中冴子があれ、と声を上げた。

「烏養君2人に言ってないの、美沙の事。」
「言ってない。」
「何でぇ。」
「説明がめんどくせぇしいくらたっつぁん達でも人んちの事情を勝手に喋りたくねぇ。」
「美沙はぜんっぜん気にしないと思うけど。」
「それが問題なんだよ、あの半分ボケ何も考えずに自分の事情べらべら喋るだろ。何度も聞かされた相手困らせやがって、ったくよ。」
「何かよくわかんないけど烏養君も大変だねー。」
「まったくだわ。」

烏養はやれやれと頭を横に振る。

「が、マジで今回ばっかは俺が悪い。」
「今度飴でもあげたらいんでない。」
「だな。」

言っている間に一行はぞろぞろと空いている観覧席に座るのであった。


試合観戦については割愛する。言える事は排球部の部員達及び関係者は真剣に観戦していて、無関係なのに引っ張り込まれた縁下美沙も理解が追いつかないなりにも黙って静かに見ていたというところだ。

そうして目的の試合が終了し、観戦が終わった一行は観覧席から去る。
しばらくぞろぞろと歩いてから人の邪魔にならなさそうな所で先導していた烏養が足を止めた。

「おーい、全員いるかぁ。」

烏養が言ったしりから素早く澤村が3年から順に部員の名を呼んで確認を取っていく。美沙はそれをぼんやり聞いていたのだが

「縁下妹。」
「ふぎゃあっ、あ、はいっ。」

最後に呼ばれて面食らった。いちいち呼ばれると思っていなかったのだ。美沙の反応に他の部員は―義兄の力ですら―密かに笑っているし澤村は涼しい顔をしている。
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