第25章 【パニック at the 文化祭 後編 その1】
「ごめんごめん、流石にやりすぎたか。」
慌てて手を貸して作並を立ち上がらせてやると作並は涙目である。本当にごめんよと力が言うと作並はうなずきやっと落ち着く。
黄金川もふぃぃぃと息をつき、やっちまったと力が思っていた所へ成田と木下がやってきた。
「縁下、」
先に口を開いたのは成田である。
「何他校の一年生怖がらせてんだよ。」
そーそーと木下が続く。
「だいたい作並君はわざと見たんじゃないだから。」
反論の余地はない。うぐぐと唸ってから力は一同に向き直って本当にすみませんでしたと頭を下げまくった。
それで事は大方落ち着いたのだが
「美沙、こっち来な。」
「や。」
いつもなら素直に義兄の言うことを聞く美沙、しかし今回自分がうっかり騒いでしまったのが原因とはいえやらかしてくれた義兄に流石の美沙もひいていた。
気を抜いていたりするとよく"はい"という返事が"あい"になる美沙であるが今回は嫌やと言ったつもりがあまりに高速だった為文字で書くと随分短い。
「や、じゃない、また及川さんにセクハラされたくないだろ。」
「ちょっと縁下君っ。」
「アンタ常日頃どんだけなんスか。」
「怒らせてばっかの二口君に言われたかないねっ。」
「ほら美沙、おいで。」
「や。」
「我儘言うな、ほら。」
「やーっ。」
「縁下がとうとう美沙さん持ち上げたぞ、成田。」
「自分が持ち上げるのはいいのかよ。」
余談ではあるが後にこの下着事件の話を聞いた作並以外の身長160cm台の連中は全員が丁度近くにいなくてよかった自分も気をつけないと内心思っていたという。
更にこの間ずっと沈黙していた影山は顔色がますます悪くなっていた。
次章へ続く