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【ハイキュー】エンノシタイモウトこぼれ話

第22章 【大人になってもご用心】


ずっとずっと後の話である。
成人してすっかりいい歳になった縁下力の家に高校の時の部活仲間が集まっていた。若い衆から見ればつまりおっさんが酒飲んで駄弁っている訳でなかなかの光景である。
中でも田中龍之介と西谷夕はいい歳になってもテンションの高さは相変わらずらしく何かにつけてはブワッハッハッと笑っている。

「相変わらずだな、お前らは。」

縁下力は苦笑してビールを一口口に運ぶ。

「縁下ぁ、それおめーが言うか。」
「おうよ、お前が一番変わってねぇだろ。」
「この歳でお前らより落ち着きがなかったらどうしようもないっての。」
「ぐっ、このやろ。」
「事実は仕方がないな。」
「成田も真綿に針が相変わらずだしよ。」
「やーでもこのメンツじゃなんとなーく高校ん頃に戻っちまう感じだよな。」
「わかるぜ、久志。」

わいわいと会話をするそんなおっさん方の中に1人妙なのが混じっている。高校生くらいの少年が1人、そこに混じってジュースを飲んでいた。驚くことに上から下まで16、17歳頃の縁下力にそっくりである。しかしぼんやりとおっさん方の会話を聞いているその顔は表情に乏しくそれは別の誰かに似ていた。

「無理していなくていいんだぞ。」

縁下力は少年に言うと少年は首を横に振った。

「別に。聞いてておもろいから勝手におるだけ。」

さっきまで変わっていなかった少年の顔は途端にニッと笑顔になる。力にそっくりな顔なのに口から出る言葉は明らかに宮城のものではない。

「つくづくおもしれー事になったよなー。」

そんな親子を見て田中が言った。

「姿は縁下に生き写し、なのに喋りは縁下妹。」

田中の言葉にすぐさま台所の方から女性の声が聞こえる。

「もう妹ちゃいますよー。」
「おー突っ込みも変わらずだな。かてーこと言うなって、慣れちまってんだよ。」
「昔成田が縁下の顔で言葉が美沙さんになるかもって言ってたけど。」
「俺もまさか当たるとは思わなかったな。」
「まったくとんだフラグ立ててくれたもんだ、というか何気にお前と木下が一番茶化してくれてた気がする。」
「あんだけ過保護の溺愛見せられちゃなぁ。」
「ちょお木下さん、シーっ。」
「今更やろ、俺もう知っとうし。」
「あんたはあんたで何言うとんの。」
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