第21章 【初めてのアルバイト】完結編
「捨て子の薬丸、うちの学校でも微妙に話題に上がってました。そこまでなるってことは相当妙としか思えない。」
「私今縁下やもん。」
「そこいちいち突っ込む時点でお前おかしいんだよ。」
「ちゃうもんはちゃうもん。」
「鬱陶しい。」
「ちょっとウシワカちゃん後輩の教育がなってないんじゃない、女の子いじめてるよ。」
「奇妙なのは事実だろう、兄も含めてだが。」
「わ、こいつサイテー。」
「及川流石にその辺にしとけ、小学生か。」
「だって岩ちゃん、こいつ全然わかってないし。」
言いながら及川はスタスタとカウンターの後ろに隠れている美沙のところへやってくる。
「おおよしよし、泣かなくていいからね美沙ちゃん。」
及川としては慰めようとしたのだろうが美沙は途端にふぎゃあっと叫び岩泉がブチンと来た。
「こんのくそったれ変態及川っ、てめーは何度セクハラに及んだら気が済むっ。」
「ちょっと岩ちゃんやめてよね、俺は美沙ちゃんがかわいそうだから慰めてるだけだしっ。」
美沙はカウンター越しに及川に抱っこされて頭を撫でられていた。
「いつも言うてるけど兄さん以外は抱っこ禁止っ。」
「お兄さんならいいのか。」
川西が誰しも抱く疑問を口にし天童がヤッフーと面白がる。
「何これ何これ超レアじゃね、あの及川がさえない系女子を愛でてるっ。」
「おおおおおい電脳っ、大丈夫かっ。」
「何だこの絵面。」
五色は慌て、白布はドン引きしている。
「おい獅音大丈夫か。」
「すまん隼人、ちょっと現実感失った。若利、結局あの子はどういう」
「わからん。とにかくあいつを見る度及川はあのとおりだ。」
「何でもいいから止めてやれっ、あの関西弁明らか嫌がってんのに止まってねぇぞっ。」
瀬見の言うとおりで美沙は嫌や離してぇと抵抗、岩泉はこんのクソ川と毒づきながら及川を引き剥がそうとしているがうまくいっていない。
「わかった。」
一体何をどう解釈したのか瀬見に言われた牛島は動き出し、いい子いい子と美沙を撫でくり回す及川の側に行った。