第4章 【前監督と義妹】
余談だがその頃縁下兄妹はこんな会話をしていた。
「ええっ、お前来てたの。」
「うん。」
「全然気づかなかった。谷地さん何も言ってなかったし。」
「多分やっちゃんも田中先輩のお姉さんも気ぃついてへんと思うよ。私ろくに喋ってへんし、帽子被ってたから顔もわからんかったやろし、ガジェットケースつけんと来たし。」
「無駄に徹底してるな、そこまでするか。」
「だって1人で来たってわかったら兄さんすぐあわあわするやん。」
「う。」
「それより兄さん、お疲れ様。」
「ありがとう、美沙。」
共依存ぶりを心配する大人を他所に兄妹はまた抱き合うのだった。
【前監督と義妹 終わり】