第21章 【初めてのアルバイト】完結編
「二口と黄金川がごめんね、ええと。」
「縁下美沙です、美沙でいいです。大丈夫ですよ、おとなしい二口さんも不気味だろうし。」
「無駄に口だけは回るようになりやがったな、この半分ボケ。」
「はてさて。」
「こらあ二口、いい加減にしろおっ。」
「茂庭さん引退されても大変ですねえ。」
「まったくだよ、気が気でなくて。縁下君も度々ごめんよ。」
「俺は美沙が無事なら何でもいいです。」
「スンマセンしたおにーさんっ。」
「ああ、もういいよ。」
「ところで妹さんはちゃんと食べてるんすかっ、めちゃ軽でしたけどっ。」
「むしろ運動しない癖にやたら食うから気をつけてやらないといけないかな。」
「せやからって買い食いの揚げ物禁止令まで出されるんはどないなんやろ。」
「何か言ったかい。」
「なんもない。」
「躾しっかりっすねっ。」
「私はペットかっ。」
「突っ込みも躾られたんすかっ。」
「んな訳ないやろーっ。」
「もともとこういうノリだよ、美沙は落ち着いて。」
力に言われて美沙はうぐと唸り笹谷と鎌先がブフッと吹き出したところでやっとわあわあした騒ぎは収まった。
「頑張れ。」
「ありがとうございます、青根さん。」
「せーぜーやっとけや、半分ボケ。」
「あんたどこまでひねくれてんの、たまには素直に言いなさいよ。」
「二口さんも一応おおきに。」
「一応がよけーだっ。」
「ほらもう二口いい加減にしろってば。」
「茂庭さんはあの兄妹に甘すぎっすよっ。」
伊達工の連中は立ち去り、義兄の力は本当に美沙が終わるまで待った上に義妹を連れ帰ったのであった。
「面白かったな、カオスだったけど。」
「パンタロンはマジで覚えてろ。」
「楽しい人でしたねっ、俺またあそこに寄ろっ。でもおにーさんはおっかなかったっす。」
「あのシスコンは病気だ、あいつの上に病院建てた方がはええ。」
「あんたいつか刺されるわよ。」
「いやむしろ建てた病院が逃げる気がするな。」
「小原さん言っちゃいましたね。」
「僕わざわざ妹さんの為にすっ飛んできて黄金川君威圧する人初めてです。」
「とにかく元気そうでよかった。」
「ケッ。」