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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第21章 ・義妹が起こした奇跡


「で、その後ホントに若利に帰りの連絡入れてる訳だな。」

瀬見が言った。

「はい。」

文緒は弁当のおかずを一口食してから答えた。またも中庭で瀬見と昼食にしている次第である。

「まさかあの無関心が今度は過保護に転身するとはなぁ。」
「やはりそうなりますか。」
「他に言いようがねえ。」

瀬見は言って自分も一口モグモグやる。

「やはり青城の方とお話したのがいけなかったのでしょうか。」
「相手が及川でなきゃ大丈夫だったろうけど。」
「そもそも兄様が本当の所何を心配されているのかよくわからないんです、他の人が私を側に置きたがるのが気に入らないと言うのですが。」
「あー多分あれだ。」
「どれでしょう。」
「自分の知らないとこでナンパされるとか何とかを心配してる。本能的にだろうけど。」

文緒は固まった。

「いやそんな目で俺を見るな。俺だって考え過ぎって思うけどよ。でもなまじなぁ、及川が噛んでるからなぁ。」
「あの方はそんなに要注意ですか、お話してて少々扱いづらい方だとは思いましたが。」
「女子に対してヘラヘラしてるようなのがお前を気に入った可能性があるってのが問題だ。」
「かなり低そうな可能性に思えます。」
「そろそろお前の鈍さ加減に腹立ってきそうだわ。」
「何て事。」
「今までそういう事なかったから気づかねーんだろうけど世の中意外と好意的な奴がいるもんだぞ。」

でなきゃ俺の立場どうなるんだよと瀬見が思っている事など文緒は知らない。

「まあそれ考慮しても若利は過保護になってる。」
「流石に私もそれはわかります。どうしてこうなったんでしょう。」

瀬見がそうだなぁと呟く。

「でもお前が妹なら俺も心配するかも。」
「世間知らずは認めますがそんなに頼りないでしょうか。」
「天然お嬢様だからな。」
「何て事。」
「立ち入ったこと聞くけどお前若利んとこ来るまでどんな家にいたんだよ。」
「躾は厳しい方でした。教養になる事については惜しみなく費やしてくれましたし趣味についてもそんなにどうこう言われませんでしたが今思えば私を俗世間から遠ざけている感じがあった気がします。」
「前住んでたのどの辺だっけ。」

答える文緒に対し瀬見はやっぱりなぁと頭をかきむしる。
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