第17章 ・月刊バリボー
「エースと呼ばれる方はやはり兄様みたいにウィングスパイカーの方なのですか。」
「多くは。」
「あら、この及川さんという方は随分烏野を気にされているみたいですね。」
「そこは読まなくていい。」
「兄様、やはり日向達と何か。」
「特にない。ところで茶を持ってきたのではなかったのか。」
「ああっ、いけない。もう冷めてしまってると思いますが。」
「構わん。」
「お取りしますね。」
「ああ。」
「お茶菓子はいかがですか、お母様が高知のお知り合いからいただいたそうです。」
「随分南から来たものだな。」
「何でも向こうのお土産の定番だとか。」
「たまには頂こう。」
少し冷めた茶をすすり菓子をつまみながらでかい義兄が細い義妹を膝に乗せ、月刊バリボーを一緒に見ている図はかなり不思議だ。
しかし外からはともかく当人らは、少なくとも文緒は幸せそうにしていた。
次章に続く