第16章 ・知らぬところで
その頃、先に出て行った瀬見は天童に絡まれていた。
「ちょっと英太クン、文緒ちゃんの事気にしすぎじゃない。」
「あいつがしょっちゅう若利の事で悩んでる話聞くからよ。それだけだ。」
「へー、だからたまに昼休みになったら文緒ちゃんと二人きりなんだ。若利クンよりおにーちゃんしてるじゃん。」
「うるせえ、若利の鈍ちんが悪い。」
鬱陶しそうに言う瀬見にしかし天童はその名の通り何か覚ったような目で言った。
「まさかホントにそんな流れになるなんてねー。」
「お前のせいだ天童、一級フラグ建築士が。」
「英太クン、それ多分使い方ちょっと違う。」
「知るか。」
瀬見は呟いて天童を置き去りにズンズンと歩いて行った。
次章に続く