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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第16章 ・知らぬところで


そんなこんなでまた別の日の白鳥沢学園高校男子バレー部部室での事だ。

「あれ若利クン、また何か悩んでんの。」

考え事をしている若利に天童が言った。言われた若利はああ、と呟く。

「うちの文緒の帰りをどうしたものかと。」
「お前一体何の話してる訳。」

いきなり訳のわからない事を言い出すエースに瀬見が引きつった顔をする。何かの予感がしたのだろう。

「先に言ったとおりだ。文緒を1人でウロウロさせたくないのだがどうしたら良いのか。」

若利は当然わかっておらず堂々と言い、瀬見は真面目系天然って面倒だよなと面と向かって言い出す始末だ。

「あのなー、妹だって人間なんだから1人でどっか出かけたり自分で人間関係作ったりくらいするだろ。」
「あれには友人がいない。それにあの天然ぶりでは不安が残る。」
「それはお前が言うな、お前ら兄妹揃って天然だっつの。」
「というか若利クン、マジでどしたの。」

面白そうな匂いを嗅ぎつけたのか天童が口を挟む。

「ちょい前までは妹をもっと構えーって獅音からも言われてたくらい文緒ちゃんに関心なかったのに。」
「昨日の件で思う所があってな。」
「それを今日も引きずっている若利クンがレアすぎて俺得。」
「天童、日本語を話せよ。」
「十分日本語ダヨ、英太クン。」
「何でもいいので続きをお願いします、牛島さん。」

話が逸れると感じたのか今度は白布が口を挟んだ。

「まず俺に何も言わなかったのが気に入らん。次にあまりに人を信じ過ぎて俺の目の届かない所で何か起きそうなのが不安だ。」
「じゃああの妹をずっとどこかに留め置くんですか、それは異常です。」

きっぱりはっきり言う白布に山形がボソッと賢二郎容赦ねえなと呟く。白布は構わず続けた。

「関心を持つのは結構ですが過保護は別ものですよ。あいつの事だから貴方に言われりゃ従うんでしょうけど納得するとは思えませんね。」
「何故そう思う。」

気を悪くした風でもなく尋ねる若利に白布は言った。

「工から聞いた限りでは、あいつ意外と自分の意志を持ってるようなので。」
「そうか。」
「加えて言うと箱入りの奴を入れたまんまにするより自分から出るようにしてやるのが愛ってもんでは。」

まさか白布の口から愛などと出てくるとは思わない為、天童と瀬見がぶっと吹き、川西も肩を震わせている。しかし、
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