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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第14章 ・落し物お届けとその後


牛島若利はまたロードワーク途中に彼らに遭遇した。烏野の日向翔陽と影山飛雄、それに知らない影の薄そうな奴がいる。烏野勢は制服で帰宅途中に寄ったといった様子だ。実際には急遽彼らが使っている第二体育館で不具合が見つかり点検等が入ったので今日は練習が休みになったのだがもちろん若利の知るところではない。ともあれまた烏野か何事だと若利が思っていると日向が近寄ってきた。

「すみません。」
「ヒナタショウヨウ。何か用か。」

日向は制服のズボンのポケットをゴソゴソして何かを取り出す。

「これ、文緒さんに渡したげてください。」

桜の花型をしたプラスチック製の飾りだ。

「これは。」
「昨日たまたま会って別れた時に文緒さんが落としてった奴です。きっと困ってるだろうから。」
「文緒と会った。」

日向から落し物を受け取りながら若利は聞き返す。

「あれと話したのか。」
「ちょちょちょ、ちょっとだけ。」
「聞いていない。」

話してないんだ、文緒さんと日向はボソリと呟きしばし沈黙が流れる。やがて若利は尋ねた。

「あれは何か言っていたか。」
「貴方の事大好きだって言ってました。」
「そうか。」
「元気って喋りじゃないけど話してる時は何か嬉しそうな感じでした。」
「そうか。」

はたから見れば味気ないやりとりだが若利は何も考えていない。

「あの、貴方は文緒さんの事、どうなんですか。」

途端若利は何か落ち着かない物を感じた、それが何かはわからないけれど。

「私的な事だ、お前には関係がない。」

思わず抑揚なく言う若利に日向が気色ばむ。危険を感じ取ったらしき影の薄そうな奴—つまり縁下だった訳だが—がその肩を掴んで無言で制止するが日向は身じろぎした。

「文緒さんの事、どうでもいいんですか。兄妹になったのに。」
「あれはうちの事情まで話したのか。どうにも天然で困ったものだ。」

若利が言うとお前が言うなになってしまうのだが勿論彼に自覚はない。一方日向は若利をねめつけたまま退こうとしなかった。縁下がよせと囁いているがそれもなかなか聞かない。

「何を気にしているか知らんが特にお前に指摘されるような事などない。あれの役目は俺の話し相手、それで十分だ。」
「あれって文緒さんは物ですか。」
「そうではない。」
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