第12章 ・瀬見英太のお節介とその他
昼休みの中庭、1-4牛島文緒は戸惑っていた。
「あの、瀬見さん。」
「ん。」
隣に座り込む3-1瀬見英太はどしたと言いたげに文緒を見る。
「よろしいのですか。」
「何が。」
「せっかくのお昼休みに私などにかまけて。」
「何言ってんのかわかんねぇ。」
「クラスでのお付き合いがあるでしょうに。」
「いっつもいっつもじゃねぇし。」
「ですが。」
「うるせーんだよ。」
文緒はコンッと飲み物の紙パックの角で頭を軽くこづかれた。
「お前こそせっかくの昼休みに1人でモソモソここで飯食ってんじゃねぇか。」
「一緒に食べる人がいないので。五色君は他の友達と食べてますし、当たり前ですが。」
「若利は知ってんのか。」
「いいえ、兄には言ってません。」
「またかよ。」
瀬見は盛大にため息をついた。
「若利も若利だけどお前も大概だぞ。もちっとそういう事も若利に話せよ。」
「兄様の耳にあまり妙な事を入れたくありません。」
「お前もある意味馬鹿だな、どうせ工が見た範囲の事何もかんも喋るのに。」
「五色君はバレーの事以外多くを覚えていない気が。」
「お、おう、なるほど工が見た目ほど弱っちくないって言う訳だ。」
「私は一体。」
文緒は呟いて弁当のおかずを一口口に入れる。どうも解せない。何故に瀬見英太はわざわざ文緒が食している所にやってきてそのまま居座っているのか。思えば瀬見は文緒が牛島若利の妹としてこちらにやってきてからやたら文緒に話しかける。気にしてくれるのは有難いが自分のせいで瀬見に影響が出たら申し訳が立たない。しかしそういった事を言うと先のようにうるせーと言われてしまうのだ。