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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第11章 ・おかしな届け物


その日、牛島文緒は知らない3年生から妙な依頼を受けた。

「あの、何故私が。」

困惑する文緒の手には携帯電話、しかしそれは文緒自身のガラケーではない。義兄の若利と同じチームかつ同じクラスである山形隼人のものだった。山形はよく携帯電話をあちこちに置き忘れる癖がありどうやら今回は教室に置いてきたらしい。3-3の奴はそれに気づいた。そこまではいい。問題はそれを自分で直接男子バレーボール部の所へ持っていくのでも同じバレーボール部である義兄に託す訳でもなくわざわざ1年の文緒の所へ持ってきたことである。困惑するなという方が難しい話だ。黙って俯いてしまう文緒に相手は嫌なのかと聞いてきた。

「いえ、嫌なのではありませんがどうにもよくわからなくて。」

正直に言う文緒、相手は一応言い分を持っていた。曰くクラスにいる他のバレー部のメンバーも捕まえ損ねて頼めなかった事、正直男バレは無関係の自分にとって近づきづらい為あの牛島の妹である文緒に頼もうと思い立ったのだと言う。どうにも不思議な発想だと文緒は失礼承知で思った。自分だってたまたま牛島若利の妹になったというだけで別にバレー部公認で出入りしているような身分ではない。山形の事は知っているが自分がその山形の忘れ物を届けるのは少々不自然ではあるまいか。しかし既に山形の携帯電話は文緒の手に押しつけられており、押しつけた3-3の生徒はジリジリと文緒から離れつつある。

「あっ。」

文緒が声を上げた時はもう遅い、相手はじゃあ頼んだと言い残して高速で走り去ってしまった。

「どうしよう。」

押しつけられた手の中の携帯電話を見つめて文緒は呟いた。既に五色も教室にはおらず頼みようがない。ほんの少し悩んでから文緒は廊下を歩き出した。正直怖いがとっとと行くしかないと思った。
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