第10章 ・利き手の話
「天童さん辺りが振りそうだと思いました。」
「そうか。」
瀬見か山形が聞いたらもっと突っ込めよと言いそうな状態だが今の所若利ではまず無理であった。
「あれ、お前。」
後日の白鳥沢学園高校1-4での事だ。
「利き手そっちなのか。」
五色がペットボトルの蓋を開けている文緒に尋ねている。
「ううん、たまたまこっちがやりやすかったから。」
「変な奴。」
「五色君ははっきりしてるね。」
「牛島さんは何も言わないのか。」
「昨日同じ事聞かれた。あれ、もしかして。」
「どうした。」
「何か兄様昨日変な顔してたの思い出した。」
「絶対それだろっ、気づけよ天然っ。」
「兄様はともかく私は違うからっ。」
「うそつけーっ。」
五色に突っ込まれては世話はなかった。
次章に続く