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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第53章 ・思い、請い、誓い、そして


「声が大きい。」
「この際構っている場合ではありませんっ、私の居ない所で何だってそんな事をほぼ直球でお聞きになったんですっ。」
「気になった。」
「もうしばらく様子見にされても良かったでしょうに。」
「先日寝ているお前を連れて行っている所を見られた。なら話が早い方がいいと思った。」
「全くもって繋がりが見えません、兄様。」
「そうか。」
「この所お母様やお祖母様が妙に機嫌がいいと思ったらああ、何て事。」
「冷遇されるより良いだろう。」
「それはそうですがでも」
「いずれ現実になる。今のうちに心づもりをしてもらった方がいい。」
「兄様それは」

文緒は顔が熱くなってきた。義兄は淡々と物凄い事を言っている。

「どうした。熱でも出てきたか。」

しかし当の義兄はやはり何も考えている様子がなかった。

「兄様の天然は鉄筋コンクリートだという事を改めて痛感しました。」
「その心は何だ。」
「筋金入りです。」
「その発想はなかった、なかなか面白い。だが俺は天然ではない。」
「チームの方は少なくとも誰も納得されないかと。」
「確かによく言われる。」
「外の方も納得されないでしょうね。」
「例えば」
「やはり青城の及川さんや岩泉さんでしょうか。後は烏野の」
「烏野の話は必要ない。」
「兄様、毛嫌いが過ぎるのでは。」
「別にヒナタショウヨウをどうとは思っていない。」
「誰も日向とは申しておりません、縁下さんと言おうとしました。」
「誰だったか。」
「何て事、縁下さんに申し訳が立たないです。」
「そうなのか。」
「私を探すのに尽力してくださった方だというのに。」
「ああ、あいつだったか。」
「兄様、本当に天然が過ぎます。」
「俺は天然ではない。この話の時もお前は聞き分けが悪いな。」
「ここは譲る気がありませんので。」
「その頑固さは誰に似たのか。」
「若利兄様の妹ですから。」
「納得がいかない。」

少し日が傾いてきた中、帰りの道中でお互い自分は天然ではないと不毛な言い合いをしながらも兄妹は手を結んでいる。若利が人混みに紛れても絶対離さないかのようにしっかり文緒の手を握っている為、知らない者が見たら兄妹ではなく歳がかなり離れた親戚に思うかもしれない。

「兄様、」

やや引きずられたようになりながらふと文緒は言った。
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