第52章 ・TVゲーム その後

「牛島さんは何でやたら文緒抱っこするんですか、抱き心地がいいんですかっ。」
「この大馬鹿野郎っ、何聞いちゃってんだっ。」
「何で瀬見さんが真っ赤なんです。」
「聞いてあげないでよ、太一。」
「何故聞く。」
「文緒って骨と皮って感じで固そうなんでっ。」
「こら工、いい加減にしなさいよ。」
「ったく、そのまま若利に怒られちまえ。」
「確かに固いがそれとこれは関係ない。」
「若利お前はちったあ怒れっ、そんまま答えんなっ。」

突っ込む瀬見、しかし若利は何も考えずそのまま話を続けた。

「俺にとって愛らしいからついそうしてしまう。それだけだ。」

五色が衝撃で絶句する。天童が笑い転げる。川西がドン引きし顔を青くしている。白布はジトッとした目で若利を見つめている。山形が頑張って後ろを向いて笑いを堪えている。大平がああもうと頭を抱えている。

「こんのど天然。」

瀬見がヒクヒクしながら若利に言った。

「どーすんだよ、このカオス。」
「俺のせいなのか。」
「正確には工もだけどな。てか妹愛が酷すぎるどっかの漫画のキャラか、お前。」
「何のことかわからない。」
「ま、妹の写真部屋に貼りまくるってこたねえだろうけど。」
「俺は変質者ではない。」
「お、おぅそれはヤバイって認識はあるのか。てか今更だけどお前何か機嫌いいな。」
「そうか。」

若利は呟く。

「そうかもしれない。」

その脳裏には今朝目が覚めた時に自分の隣にいた義妹の姿が浮かんでいる。

「まあ何があったかは聞かねーけどよ。」

瀬見が何となく察したように言った。

「溺れっぷりを外に出すんは程々にな。」
「溺れてない。」
「まだ言うかこいつ。」


次章に続く