第51章 ・TVゲーム その3
その間にも勝負は進む。
「やったあ、起爆の色来たアァアアアっ。」
「させねーぞ、天童っ。」
「何かすげえ連鎖の音してるっ。」
「強いなぁ、はは。」
「これは流石に無理かも。」
ボソリと呟く文緒だが手つきは明らかに諦めている様子がない。天童のフィールドで連鎖の音が響く間にもいくらかブロックを積みにかかっている。
「ホント粘るよなー、文緒。」
「すぐ諦める奴よりいいだろう。」
「さり気に妹自慢してんじゃねーよ。」
「していない。」
「してる。」
「図体でかい子供がいるんだけどどうする、賢二郎。」
「ほっとけ。」
阿呆らしいと言いたげに白布が呟いた所でプレイヤー側が大騒ぎになった。
「うわああああ、やられたああああっ。」
「まーた天童かよっ。」
「これは流石に厳しいな。」
「やっふー、ビクトリイイイッ。」
五色と山形が脱落、大平が生き残る。天童はノリノリであるがよく見ると残り約1名も微妙に粘っている。
「時間の問題とは思いますが粘らせていただきます。」
「諦め悪っ。」
「あら、天童さんが仰いますか。」
「流石若利君の妹だねえ。」
天童がニヤニヤする中、
「色々おかしい。」
観戦側で白布が呟く。
「あの嫁どこで覚えた。」
「あれは何だ。」
首をかしげる若利に川西が解説する。
「ブロックぐるぐる回してゲームオーバーまでの時間稼ぐ技です。ああしとけばちっとの間ブロックくっつかないんでギリギリの勝負で使われると何とか。」
「そうか。」
「つかおい若利、文緒マジで一体どーなってんだ。」
「俺も初めて知った。」
「人ってわかんねーもんだな。」
瀬見が呟き、一方プレイヤー側は天童、大平、文緒がまだやり合っている。
「乙な事するじゃん、文緒ちゃん。」
「粘ると申し上げましたので。」
「しかもどさくさに紛れてくっついたブロックで2連鎖しちゃってまぁ。でももう掘り下げる時間ないよー。」
文緒は応えない、天童が高速で連鎖を組む中黙々と消せる限りのブロックを片っ端から消している。
「諦めるつもりないみたいだな。」
「いいながら獅音もトドメ刺しにかかってるよね。でもおっさきー。」
「ああ、こりゃ駄目だ。」
圧倒的な天童の攻撃に大平が笑いながらため息をつき、
「負けました。」