第50章 ・TVゲーム その2
「何気に残りましたね、瀬見さん。」
「天童にいきなり全員埋められるのは腹立つからな。」
「ちょっとぉ、俺を悪モンにしないでよね。」
「うっせぇわ、つかお前バレーもこのゲームもドシャット派だよな。」
「だって一気にやった方が気持ちいーじゃん。」
「ホント本性丸出しですね。」
「賢二郎だって何気にエグイし。」
「さて。」
「言ってるそばから涼しい顔でこのやろっ、何だよこの攻撃力っ。」
「積み込んどいただけですよ。」
「怖いねぇ。」
「てめーも何気に相殺してんじゃねぇっ。がああああっ、3列目埋まったあぁぁぁぁっ。」
「あはは、英太君残念2度目。」
「殴りてぇ。」
「まだ終わってませんよ、天童さん。」
瀬見が脱落、後ろで控えている連中はやり合う天童と白布のフィールドを見守っている。
「やっぱりあんなの対応出来ないかも。」
文緒が呟く。
「出来ないじゃないだろ、するんだろ。」
「言ってる事は格好いいけど五色君は✕印ついてる列にちょっと積み過ぎだと思う。」
「そーなのかっ。」
「あそこ詰まったら他の列無事でも即ゲームオーバーだよ。」
「そーだったのかっ。」
「気づいてなかったんだ。」
そんな1年生組の側では川西がしみじみしている。
「教えてあげるなんて文緒さんは親切ですねぇ。」
「公平を期すには必要だろう。」
「若利らしいな。」
「ああああああああっ、やられたああああああっ。」
話している間に天童の叫びがこだまし、白布が顔にこそ出していないがドヤ顔っぽい雰囲気をまとっていた。
「嬉しそうですね、白布さん。」
戻ってきた白布に文緒が声をかけると白布は気のせいだとプイッとする。
「それよりお前の番だろ。」
「あら、そうですね。」
文緒は微笑んだ。