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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第7章 ・若利は怒力する


「その」

俯いたまま文緒が続けた。

「兄様はバレー部のエースですよね。」
「そうだが。」
「多分、チームの多くの方が兄様の凄い所に惹かれていて兄様に頑張って欲しいとか兄様の為に自分が出来る事をしようとか思ってらっしゃると思います。私も多分それと似たような気持ちです。」

さっきよりずっとわかりやすいと若利は思った。

「私の場合はお側にいて、自分が出来る事で兄様のお役に立てたらと思っています。」
「そうか。」

話が続かない。若利はどうすればいいのか思案する。

「あの、兄様。」

ここでおずおずと顔を上げて文緒が言った。

「そも何故そのような事を。」
「チームの連中が俺はお前に関心がなさすぎると。」
「あら。」

文緒は控えめに言ったがその実吹き出しそうになっていたのを若利は知らない。

「瀬見どころか大平にまで言われた。」
「副主将のあの方ですか。」
「そうだ。」
「それは何ともはや。」
「とかくお前と会話しろと言う。」
「そうでしたか。」

淡々と語る若利、おとなしく話を聞いている義妹が何でチームの連中に兄がそこまで言われる事態になっているのかと内心混乱している事など気づいていない。

「兄様」

混乱の為しばし沈黙していた文緒が言った。

「その、チームの皆さんは私の事も含めて心配してくださってるかと思いますが兄様の気にそまないのならご無理はなさらずに。」

若利はまだ何も言っていないと言いかけたが意外にも義妹はかぶせてきた。

「ただ私は仮に兄様に死ねと言われたら死ねるくらいの気持ちでいます。」

言うに事欠いてとんでもない事を言い出した。こいつの思考はどうなっていると若利は自分の事を棚に上げて思う。

「逆に死ぬな。何の為に母さん達がお前を引き取ったのかわからない。」
「私が生き続ける事で兄様のお役に立てますか。」

役に立つとか立たないとかの話ではないのだがどうすればよいのか。そういう観点で来るのなら役目を与えてやればいいのか、でも何を。普段考えないことを考える若利の頭はえらいことになっていた。顔にはまったく現れないがショート寸前になっている。とうとう若利は半ば強引に言った。
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