第50章 ・TVゲーム その2
ともあれまだまだ勝負は続く訳だがしょっぱなから飛ばしてわいわいやっていた為、一旦休憩になった。
「お待たせしました、おやつです。」
「やったー、文緒ちゃんサンキューっ。ホントよく出来た嫁で良かったねぇ、若利君。」
「まだ嫁じゃない。」
「人前で膝に乗っけるのはどうかと思うけどな、あとその返しも何とかしろ。」
「何故だ。」
「お前じゃなかったらわざとかって聞いてるとこだわ。」
「ところで見慣れないお菓子だな。」
瀬見と若利が言い合っている所へそろりと割って入るような形で大平が出された菓子を興味深く眺める。
「母が神戸の知り合いから頂いたとか。」
「へぇ、ネットワークが広いんだな。」
「神戸って大阪かっ。」
「兵庫県だよ、五色君。」
「甲子園があるとこだっけか。」
「山形さん、それは西宮市です。」
「知らない地方ってどこも同じに見えるよな。」
「白布さん、それはきっとお互い様ですよ。」
「とにかく随分南から来たってのはよくわかった。あ、おいしい。」
川西が静かにしかし嬉しそうに薄焼きの菓子をかじる。
「確かにうまい。」
瀬見もパシポシと音を立てている。しばらくは呑気におやつタイムである。