第49章 ・TVゲーム その1

「おい今文緒マジかっ。」

観戦側の瀬見が叫ぶ。

「え、え、何が起きたんですかっ。」
「獅音の妨害分、3連鎖で相殺しやがった。」
「えええええええっ。」
「やっぱりか。本当は親の目盗んでやりこんでたんじゃないですかね。」
「白布は冷静だなおいっ。」
「いやいや隼人君それどころじゃないよっ。」

更に天童が叫んだ。

「そっから3人速攻で文緒ちゃんに連鎖潰されてんだけどっ。」
「文緒つええっ。」
「何がゲーム機のパッドは扱えませんだよ、めっちゃバリバリやってんじゃんっ。」
「あちゃー、愛しの文緒ちゃんは結構怖いねえ、英太君。」
「天童、マジで次ぶっ潰す。」

観戦側がメンツからして喧しいのはしょうがないがプレイヤー側にもちろん衝撃が走らない訳がない。

「こりゃ油断したなぁ。」

大平があからさまに動揺している。

「てかその後も文緒さんのポロポロ攻撃が天童さん並みにとめどないんですが。」
「文緒、落ち着きのない攻撃はやめろ。」
「申し訳ありません兄様、やっぱりパッドに慣れなくて。」
「パッドに慣れない人の攻撃速度か、これ。」
「ああっ、また起爆箇所埋もれた。やるなぁ文緒さん。でも申し訳ないね。」
「何て事っ。」
「獅音やっるー、起爆箇所リバーシブルっ。」
「詰めが甘い。」
「そんな事を仰る兄様にはこちらを差し上げます。」
「何。」

若利が聞き返す間もなく文緒が操作しているフィールドで2連鎖分の音が響く。

「ぎゃあああああああっ。」
「うわあああああああっ。」

次の瞬間、川西と大平が叫んだ。他も叫んだ。

「ひょえええええええっ。」
「天童うるせえっ。」
「そういう瀬見さんもうるさいっ。」
「嘘だあんなの2連鎖じゃない威力おかしいっ。」
「それより若利の目え座ってる方がやべえっ。」
「隼人君頑張れっ、クラスメイトのよしみっ。」
「ふざけんな俺も命がおしーわっ。」

まさかの文緒による突発的な攻撃に川西と大平は先に轟沈、残るは兄妹だったが

「生憎だがこれで終わりだ。」
「ああっ、何て事っ。」

決着はあっさりついた。