第46章 ・実害報告
そういった何だかんだで牛島文緒はとうとう文芸部に入部した。幸いかな歓迎された訳だがしかし少々困った事もあったという。
「一体どしたの。」
休み時間、突如ソフトキャンディを差し入れしてきた川西に文緒は答えた。
「兄様のあれのせいで早速ああ噂の幼妻と言われました。」
川西は吹き出す。
「そりゃ災難だな。」
「思い切り顔が笑ってらっしゃいますが。」
「いや笑うな言う方が無理。」
「何て事。もう兄様の評価がどうなっているやら。」
「大丈夫、既に俺らの間じゃ文緒さん絡み限定で面白いって事になってるから。賢二郎はブツブツ言ってるけど。」
「大丈夫と言える根拠が全く見えないのですが。」
「突っ込むようになってきたな。」
「兄様があれなので何とか突っ込めるようになろうとしてるんです。でも難しいですね。」
「バリバリ突っ込む文緒さんも想像つかない。まあ何にせよ頑張って。」
「ありがとうございます、時にこの差し入れは。」
「こないだ相当頑張ってたからご褒美。」
「前も頂きましたから何だか申し訳ないです。」
「いいから。」
「ではお言葉に甘えて。」
文緒は言ってソフトキャンディを受け取る。
「因みに賢二郎セレクト。」
「白布さんが。」
首を傾げる文緒に川西は言った。
「文緒さんの話になるとなかなかケリつかないからとっとと結論出してるだけって言ってるけど、さりげに気にしてる。」
「そうなのでしょうか。」
文緒はいつもクールでどちらかと言えば呑気な自分など嫌がりそうに見える先輩の顔を思い浮かべる。白布には悪いと思いつつも残念ながら自分を気にかける姿など想像がつかなかった。