第42章 ・【外伝】イモウト探し
「俺が許していない奴が軽々しく触れていいものではない。この先もずっと。」
そこで縁下ははたと気づいた。
「牛島さん、文緒さんのこと」
流石の天然バレー馬鹿も察したようだ。ああと頷いた。
「妹以上に愛してしまった。許されるのかはわからないが。」
やっぱりと縁下は呟いた。
「滑稽だろうか。」
ウシワカはまた呟いた。
「妹として貰われてきた娘をそれ以上に愛し、傷つけられ奪われるのを恐れ、俺のものだと常に示したいと思っている。」
「滑稽とは思いません。」
かぶりを振って縁下は答えた。手段はともかくウシワカの気持ちは痛い程伝わる。
「本当に文緒さんが大事なんだってわかりました。」
ふうと縁下は息をついた。
「無事を祈りましょう。」
無意識に微笑んでいる所が縁下である所以かもしれない。ウシワカはああと呟き、2人は捜索を再開した。
縁下もウシワカも怒涛の勢いで電話をしている。
「もしもし、成田。急で悪いんだけど文緒さん知らない。いや帰ってこないし携帯もつながらないらしくて牛島さんが探してるんだ。そうだよご本人いる。うん固まるのもわかるけど、やっぱり見てないか、わかったありがとう。ああそうだ、ドッグタグみたいなペンダントしてるらしい。いや俺に言うなよじゃあな。」
「天童か、うちの文緒を知らないか。夫婦の危機じゃない、何故お前らはそっちに持って行こうとする。外に出てまだ戻らない。首飾りはつけている。ああ、助かる。」
「日向かい、文緒さん見なかったか。家に帰ってないんだってああいや喧嘩したんじゃないみたいだよ、というか今ご本人いるからね。ちょ、落ち着けよ驚きすぎっ。うん、そっかありがとう。ああ、ドッグタグみたいなペンダントしてるって。それじゃあ。」
「急にすまない大平、文緒を見かけてないか。そうだ、近くに出ると言ったきり戻らない。行き先の心当たりもなくてほうぼうにかけている。喧嘩はしていない、お前にまで言われるのは心外だ。そうか、わかった。ああ、頼む。」