第42章 ・【外伝】イモウト探し
とある休日、縁下力は妙な事に首を突っ込んでしまった。その時外出して帰宅の途中だったのだが偶然にもあの白鳥沢のウシワカこと牛島若利が1人でウロウロしていたのである。
「あ。」
思わず縁下は間抜けな声を出してしまい、向こうも気がついたようだった。
「お前は。」
ウシワカが言った。
「確か烏野の、だったか。」
「はい。こないだは日向達がお世話になりました。」
「世話はしていない。」
眉根を寄せるウシワカに縁下はまだ文緒さん絡みの事で根に持ってるのかなと思う。それよりウシワカは何をウロウロとしているのだろうか。
「ところで」
考えているうちに疑問の答えが返ってきた。
「うちの文緒を知らないか。」
「え。」
「妹だ。」
「あ、ええ、知ってます会ったことあります。でもどうして。」
「でかけたまま帰ってこない。」
「ええと、携帯に連絡とかは。」
「無論した。電波が届かないか電源が入っていないと流れる。」
「それは困りましたね。」
言いながら縁下は本当にまずい状況だなと思う。ウシワカの義妹である文緒は天然ボケでお嬢様育ち丸出しだ。ウシワカの溺愛ぶりは置いておいても遅くまでウロウロさせるのは危ない。
「ただ申し訳ないです、俺は見てません。」
「そうか、邪魔したな。」
ウシワカは呟いて立ち去ろうとする。
「あの、」
思わず縁下は声をかけていた。
「良かったら俺も協力します。」
ウシワカはピタリと足を止め、縁下を見つめた。
「ああ、頼む。」
一瞬の沈黙の後ウシワカは言った。