第40章 ・【外伝】 女神と天使と天然お嬢様
「お互い大好きなんだね。」
「不思議なものです。兄は当初私に関心がなかったと言います。でもチームの皆さんのお力添えで私と話そうとしてくれていつの間にかそうなりました。」
そっかと清水は微笑んだ。
「良かったね。」
「はい。」
牛島文緒は微笑んだ。
そうしてもう少しだけ会話をして別れたその後日である。
「噂のウシワカの妹さんに会った。仁花ちゃんも一緒に。」
さらりと言う清水に烏野の男子排球部の野郎共はおおおと声を上げる。
「どうでしたっ。」
何故かワクワクテカテカ状態で尋ねるのは日向である。
「可愛らしい子だった。」
「ホントに丁寧な物言いでお嬢様って感じでしたね。」
「やっぱりっ。」
「何で日向が嬉しそうなのさ。」
月島がぼそりと突っ込み山口が日向らしいとクスクス笑う。
「あと、確かに天然だった。」
「さらりと凄いこと言ってましたね。」
「相変わらず、か。人んちの事だけど心配だな。」
「ああ、縁下に天然って言われたのが一番ショックだったみたい。」
「俺って一体っ。」
「なめられてるよりいいんじゃないのか。」
成田が言うと木下がシシシと笑う。ここで、でもと言うのは西谷である。
「一仁が言ってもきっとあいつショック受けるぞっ。」
「何で。」
「お前ら4組勢は真綿に針だからなー。」
「田中、ちょっとこっち来ようか。」
「待て待て縁下っ、話せばわかるっ。」
「で、相変わらずお嬢様はウシワカに溺愛されてんの。」
わあわあやり出す2年を置いといて菅原が言う。
「うん。学校でウシワカの嫁扱いされてるって。」
「清水先輩、それ言っちゃいますかっ。」
谷地が叫ぶももう遅い。既に聞こえた野郎共がえええええっとなった。気の毒な事に東峰にいたっては昇天寸前で声が出なくなっている。
「文緒さんがっ、ウシワカの嫁っ、妹じゃなくてっ。」
日向があわあわとなっている。
「なななんでそんな事になっちゃったんだろ、大変過ぎる。」
山口が青ざめている。
「想像しただけで物凄い話だな。」
ポツリという澤村も目が泳いでいる。
「ウシワカが言わせておけって言ってるらしい。その方が都合がいいって思ってるみたい。」
清水は淡々と語り、縁下がハアアとため息をつく。