第5章 ・五色工は認めてる
また部活の時である。
「へー、工頑張ったねぇ。」
「ありがとうございますっ。」
「と言うかますます面白くなってきた。」
「天童、お前はとりあえず人んちの事情で面白がるのをやめなさいよ。というかどの辺が面白いんだ。」
尋ねる大平に瀬見が聞かねえ方がいいと言う。
「どうせろくな事じゃない。おい天童、工まで巻き込むなよ。」
「つかおかしくね。」
山形が呟く。
「若利の妹だろ、何で瀬見とか工が世話焼いてんだよ。」
「そりゃあ牛島さんが今んとこ兄貴としての自覚がないから。」
川西がボソリと言い、白布が横で馬鹿馬鹿しいと呟きながらもこう言う。
「後は大平さんですかね。」
「何で俺なの、賢二郎。」
「大平さんの事です、あの妹見たらきっと放っておけないでしょう。」
先輩達が色々言っている中、五色は考えている。文緒はすげえ、弱っちく見えるのに何か強い。でももっとしゃんとしたらいいのに。どうやったらしゃんとするんだ、牛島さんと暮らすのに慣れてきたらしゃんとするのか。
当の文緒の"兄様"は相変わらず何も気づいていなかった。
次章に続く