第37章 ・牛島兄妹、留守番をする その5
「文緒は俺の妹で他の誰のものでもないのは確かだ。万一それで文緒に仇をなす者がいるなら地の果てまでも追う。」
さらりと普通なら恥ずかしくなる事を抜かす若利に瀬見以下ほとんどの奴らがうわあという顔で若利を見つめる。
「若利君さぁ、」
1人うわあという顔をせずにニヤニヤしていた天童が言った。
「すっかり文緒ちゃんに溺れてるねえ。」
「溺れてはいない。胡乱な輩に触れられるのが嫌なだけだ。」
「そろそろこいつのあだ名をバカ利にしたくなってきた。」
「まあまあ瀬見さん、落ち着いて。」
ヒクヒクする瀬見とその肩をポフッと叩く川西を他所に若利は弁当を食しつつ考える。
文緒が俺のものだと主張して何の問題があるのかと。
次章に続く