第34章 ・牛島兄妹、留守番をする その2
「すっげえ見られてる。」
山形が呟く。
「大体工のせいだな。」
「俺ですか、瀬見さんっ。」
「他に誰だよ。」
「嫁に出来るかはわからない。」
「お前も返事すんな、若利。」
「聞かれたから答えただけだ。」
「出来るんならするんですか。」
「工っマジお前喋んな若利は今のに返事すんなよ天童は笑ってねーで止めろ白布は関係ねーふりすんなこっち見ろ獅音こいつら何とかしてくれっ。」
「よし、工は早いとこ食べようか。また食べきれるか怪しい量頼んでるみたいだから。」
「うぐ。はいっす。」
「子供かよ。」
白布が冷たい目で五色を見つめるそんな混沌状態の中、若利は1人もっきゅもっきゅと文緒が作った弁当を食していた。ぱっと見はいつもの無表情である。しかし、
「何だか」
川西が呟くと山形がおう、と応えた。
「すっげえ満足そう。」
食堂内の視線もまた多くがそんな若利に注がれていた。
その後、5時限目の休み時間に文緒が廊下を歩いていたら知らない奴にあ、あいつバレー部の牛島の嫁だと言われる羽目になる。とんだとばっちりであった。
次章へ続く