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【ハイキュー】ウシワカイモウト

第33章 ・牛島兄妹、留守番をする その1


「文緒。」
「お忙しい所申し訳ありません、兄様。お弁当を忘れておられましたので。」
「すまない。だが気にせずとも食堂で食べる。」
「どのみち多い目に召し上がるでしょう。お金もかかります。」
「いつもの事だ。」
「いけません、兄様。心配なさらずともまともに食べられますから。」
「その心配はした事がない。」
「それなら良かったです。はい。」
「ああ。」
「少なくとも野菜は食べてくださいね、ケースに分けて入れておりますから。」
「ああ。」

若利は呟いて文緒から弁当の包みを受け取る。一連の流れを見ていたチームの連中は笑いを堪えていた。白布ですら向こうをむいて懸命に吹き出すのを我慢している。

「それでは私はこれで。皆様、失礼しました。」
「お、おう。」

瀬見が笑いで震えながら手を振る。

「ま、まったねー、文緒ちゃん。」

天童はもう吹き出す直前である。そうして文緒はぺこりと頭を下げて去っていった。

バタンと扉がしまった瞬間に野郎共の笑いが爆発した。まずぶっひゃっひゃっと笑いだしたのは勿論天童である。

「ちょ、今の何、文緒ちゃんが、文緒ちゃんが」
「天童、笑い過ぎ。」
「そ、そーゆー獅音だってめっちゃ笑ってるじゃん。」
「いや、でもあれは、流石に。」
「まさかの、牛島さんが、文緒さんに世話を焼かれるの図。」
「川西、どんだけだよ。」
「瀬見さんこそ。」
「いやあれはだって。なぁ、隼人。」
「お、おう、笑うなって方が無理。」
「白布さんですら、あ、あれ、ですもんね。」
「工、うるさい。」
「顔赤いです、白布さん。」

言うまでもないがカオスである。しかし当の若利は本気でチームメイトが何故笑っているのかわかっていない。顔こそいつもの通り変わっていないが両手で弁当の包みを持って首を傾げている。

「いやぁ大変だねぇ、若利君頑張ってね。」

天童が尚も笑いながら言い、例によって若利はそれを額面通りに受け取った。

「ああ。」

それは更に野郎共の笑いを誘い、あろうことが白布が腹を抱えて壁に手をつきそれでも支えきれずにズルズルと下がっているという事態まで引き起こした。
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