第32章 ・【外伝】東京にて
牛島若利は義妹である文緒が烏野高校の日向翔陽と関わりを持ったことが今でも密かに気に入らず、思い出しては少々苛立っていたりするのだがある意味仕方がなかったのかもしれない。というのも日向を経由して文緒の事が関東方面にまで伝わってしまったのだ。
「ちょっ、それマジっ。」
梟谷学園高校、木兎光太郎が声を上げていた。下校途中のことである。
「おう、マジ。」
答えるのは音駒高校の黒尾鉄郎である。
「研磨情報だけど研磨はあの烏野のチビちゃんからメール来たっつってるからまず間違いないだろ。」
「驚きですね。」
ちっとも驚いていないような調子で言うのは木兎と同じチームの赤葦京治である。
「3大エース東北のウシワカに義理の妹が出来た、までは別にどうという事はないんですが。」
「あかーし、どうという事あるってっ。だって義理の妹だぞ、義、理、の。」
「木兎さんは何を連想しているんです、馬鹿馬鹿しい。俺は寧ろウシワカがシスコンって話に驚いています。」
「なー、意外よなぁ。あの面でシスコンって。」
黒尾がウププッと吹き出す。
「烏野のチビちゃん、妹の事に踏み込むなって言われたんだとよ。」
「まず何でそんな事を直接言われるような事態になったんだか。」
「あいつすげーよなー、一瞬ビビったみたいになる癖にいざとなったらもう雰囲気変わってるもんなー。」
「切り替えの早さは認めますが一歩間違えればトラブルになりかねないので危険ですね。烏野側の苦労を察します。」
「妹ちゃんの落し物を届けに行ったら兄貴の方が居たんだとよ。んでチビちゃんが妹の事どう思ってるのか聞いたりしてるうちにそうなったって。」
「随分と詳細な情報が流れてきたもんですね。」
「研磨がやーな顔してたぜ、ちょいちょい言葉足りないから解読に時間かかったって。」
「そりゃ大変だ。」
「てかウシワカがシスコン。」