第31章 ・変化
後日、白鳥沢学園高校男子バレー部の部室にて若利と瀬見の間で妙な会話がなされていた。
「文緒なのだが。」
「おう。」
「もう少し自分から俺に寄ってきてもよいと思っている。」
「ああ、わかる気がする。どうもあいつは遠慮しぃだよな。」
「俺が膝に乗せてやっても自分からは乗ってこない。」
ああそう、と流しかけた瀬見だがすぐ止まった。
「待て待て若利、ちょっと待て。」
「どうかしたか。」
素で首を傾げる若利は瀬見からすればたちの悪い以外何者でもない。
「どうかしたかじゃねーわ、お前今なんつった膝に乗せてるって何なんだよ。」
「そのままだが。」
「文緒はちびっ子かっ。」
「あの軽さと薄さだ、大きくはないだろう。」
「物理的な話じゃねえからっ。何で膝に乗せてんだっ。」
「何となくだが落ち着く。」
「あいつはぬいぐるみかっ。」
「ぬいぐるみや人形とは会話が出来ない。」
「頭痛くなってきた。」
「医務室に行くか。」
「だからお前は文緒にまで天然って言われんだっ、このヤロっ。」
「納得が行かない。」
誰かこいつ何とかしてくれと瀬見が思ったのは言うまでもない。
次章に続く