第4章 ・天童覚は知りたがる
「ああっ、授業に遅れる。すみません天童さん、失礼します。」
「まったねー、文緒ちゃん。」
パタパタ駆けていく文緒はえ、と言いたげな顔で一瞬天童を振り返った。
そして部活の時である。
「やめなさいよ、編入したばっかの子を弄ぶのは。」
話を聞いた大平がため息をついた。
「というか若利に聞こえたらどうするんだ。」
「ちょっと人聞き悪いよ、獅音。それに大丈夫大丈夫、若利君どうせ聞こえてないし仮に聞こえたって興味ないだろうし。」
「もし興味ないならそれはそれでどうかと思うけどな。」
「とりあえず俺は弄んでないよん。面白そうだから話しただけ。」
「すぐ飽きるんじゃないのか。」
「天童さんですしね。」
「賢二郎は容赦なしね。」
後輩である白布にまで言われながらも天童は笑っていて若利君が知らない文緒ちゃんの事をもっと知ってやろうと企んでいる。勘だけど、と天童は思った。あの子蓋開けたら色々出てきそうだな。
パンドラの匣(はこ)扱いかという突っ込みは置いておこう。
次章に続く