第25章 ・【外伝】 3番と5番のとある会話
「だんだんなぁ、話しているうちにああこいつ良い奴なんだなって。曲がるのも助けてって言うのも異常に下手だけど一生懸命なのが何かいいなって思いだしたらうっかりな。」
「英太君がハマったくらいなのに何で前の学校とかで何もなかったんだろね。」
「たまたま縁がなかったんだろ。悪い奴じゃないけど普通じゃない。ルールは守るし必要な範囲では人に合わせるけどそれ以外はなかなか自分を曲げない。ありゃわかる奴しかわかんないタイプだ。」
「まず喋り方があれだもんねー。読めない使えないわからないって訳じゃないのにあんまりカタカナ語も使わないし。当世風とか普通言う。」
「自分の好みに合わなかったら流行りにも一切乗らないしな。取り残されるのが嫌だから乗っとくって概念がねぇ。大体若利が言った事だって納得出来なかったら従わねーじゃん、あいつ。」
「あ、そういや何気に頑固。」
「逆にちゃんと説明して納得させたらこっちのもん。」
「英太君が若利君以上にわかってるっぽいのが切なすぎる。」
「うっせー。」
目を開き、瀬見は強がって笑う。
「まぁ何にせよ、とっとと言うか。」
「期限切りなよ。でないとなあなあで流れちゃうよ。」
「お前に言われなくてもわかってるよ。」
瀬見はもう一度目を閉じた。
「ああくっそ。」
天を仰いで呟く声は瀬見英太の本音である。
「何で若利なんだよ。」
天童は目を伏せてそれを黙って聞いていた。
次章へ続く