第2章 転生
俺は物心がつく前からある『夢』に襲われていた。
その夢では自分には5つ離れた弟がいた。
俺の事を『兄さん』と年相応の笑顔で呼んだ。
俺には弟もましてや妹もいない。
そもそもまだ3歳の俺をその明らかに俺より年上の少年が俺を『兄さん』と呼び見上げているのだ。
最初は訳がわからなくて、夜中に母親に泣きついたものだ。
そのあとも夢は見なくなるどころかどんどん回数が増えていった。
最初は年に数回、次は数ヶ月に1回、そのまた次は1ヶ月に数回、
最後には毎日その夢を見た。
夢は毎日少しずつ変わっていった。
小さい赤ん坊を抱いている夢、修行をする夢、面をつけて人を殺す夢、変わった柄の装束を身に纏う夢、奇妙な顔をした男と行動する夢、………青年と苦しみながら戦い、死ぬ夢。
まるで自分の記憶のように鮮明とした記憶だった。
夢を見続けて2年たったある日、妹が生まれた。
母に『抱いてみて。』と言われた時、妙な感じがした。昔、同じことを言われたような…
しかし、既に夢に慣れていた俺はその違和感を無視して、妹を抱き上げた。
その時、蓋を開けたかの様に俺に記憶の波が押し寄せた。
そして、思い出した。
自分が『うちはイタチ』であったこと。
今、不思議そうな顔をして自分の顔を覗きこんでいる父、『うちはサスケ』の兄だったこと。