第19章 優しいヒト
私は今幼馴染みの澤村大地宅のこたつでお昼寝中。大地と居ると落ち着くんだよね。
「理緒~。これから坂ノ下商店行くけど一緒に行かないか?」
「ぅう……寒いし眠いよ……。」
「着込めば寒くないって。ほらっ、こたつから出て出て!」
大地は私をこたつから引っ張り出した。
「もー寒いってば!大地は強引なんだから。」
私はブツブツ文句を言いながらも着てきたコートを羽織った。
「はい、寒いからマフラーしときなよ。」
「ありがと。」
大地は私にマフラーを巻いてくれた。
澤村大地は昔から優しい。
そう気遣いができる男なのだ。
坂ノ下商店まで二人で歩く。
「もうすぐ冬休みだね。やっぱり部活?」
「そうだな。春高までもう日がないんだからもっと練習しなきゃいけないだろ?」
「最後の大会なんだもんね。頑張って!
私も応援に行くからさ!」
「おう、ありがとな。」
暫くして坂ノ下商店に到着した。
「おー澤村と香坂じゃねぇか。
相変わらず仲いいな。」
店番をしていた烏養さんが迎えてくれた。
「まぁ腐れ縁みたいなもんですけど。」
烏養さんの言葉に大地は苦笑いしていた。
大地と烏養さんが話始めた為
私は休憩所の椅子に座った。
暖房が効いてるからポカポカして暖かい。
「理緒中華まん食うか?奢るよ。」
私は頷きどれを食べようか悩む。
「理緒決まった?」
「……肉まんかあんまんで悩み中。」
「烏養さん肉まんとあんまん1個づつ下さい。」
なんと!? 両方買ってくれるとは!
「毎度ありー。二人とも気ぃつけて帰れよ!」
烏養さんにペコリと頭を下げてお店を後にした。
「はい、理緒の分。」
大地に渡されたのは半分づつの肉まんとあんまんだった。
「選びきれない時はこうすれば二つの味楽しめるだろ?」
ニッと笑う大地に私もつられて笑ってしまった。
また大地の優しさに触れちゃったな。
優しい大地を独り占めしたいと思う私は欲張りなんだろうか。
「私は優しい大地が大好きだよっ!」
「理緒は本当調子いいんだから。」
ほらね。
大地に告白しても私の気持ちは届きません。
でもいいんだ。
今のままで私は充分幸せだから。